教養論文合格答案の書き方(前編)

公務員試験の筆記試験において「教諭論文」(小論文、論作文)は非常に配点が高く、その対策に頭を悩ませている受験生の方もいらっしゃると思います。

たしかに教養論文が合否を分けることもあるわけですから、万全の対策をして本番に臨みたいというのはとてもよくわかります。

しかし、そもそも教諭論文を難しく考えすぎている方がかなり多いのではないか?というのが私の実感です。

合格答案とは?

誰だって「少しでもいい答案を書きたい」と思いますし、そういう気持ちを持つことは素晴らしいことです。でもその気持ちが強すぎて、実は大きな遠回りをしている可能性もあるのです。

教養論文は「簡にして要」がすべての世界。

つまり合格答案とは、「簡素であるがよく要点をつかんでいる答案」に他ならないのです。

変に詳しい情報を詰め込んだ答案や問題文の要求からズレている答案は、いかにそれが力の入った労作であっても、なかなか合格答案にはなりません。

では、どうしたら合格答案を書けるのか?

ここで抽象論を述べても仕方がないので、本年度の5月5日に実施された特別区の教養論文試験を例にとり、もっともシンプルな合格答案の書き方をお伝えしたいと思います。

まず、最初に、

教養論文は「骨格」で書きます。

以下のとおりです。

(現状分析)
  ↓
(課題提起)
  ↓
(解決策)

これだけです。この流れで書けばいいのです。

もちろん出題された問題文をよく読んで、その意図に沿った適切な「アレンジ」は必要です。でもそれはあくまで「アレンジ」です。

とにかく大切なのは、最後まで「骨格」を意識して書くことです。

令和元年度特別区の答案構成

では、あらためて【特別区 論文課題1】に当てはめて答案構成してみましょう。
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 特別区では、2020年東京オリンピックパラリンピック開催に向けて、多くの来日が予想される外国人観光客への対応を進めているところです。さらに、国内労働者人口の減少を背景とし、外国人労働者も増え続けています。それらに伴う多様な言語を話す外国人の増加は、地域社会に様々な課題を投げかけることが予想されます。
 このような状況を踏まえ、これら外国人の増加に伴い生じる新たな課題に対して、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。
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特別区の問題文は、「外国人観光客」と「外国人労働者」が増え続け、彼らが「多様な言語を話すことから生じる新たな課題」についての「取り組み」を書け、と言っています。

したがって、(現状分析)の部分は共通でよいが、(課題提起)と(解決策=取り組み)の部分は「外国人観光客」と「外国人労働者」の2ルートに分け、それぞれ別に展開するのが適切な「アレンジ」であると考えます。

なぜなら、ひとくくりに外国人と言っても、一時旅行者と定住者では、彼らにとっての課題や取り組みに性質上の違いがあると思うからです。

短時間でブレのない答案構成をするコツは、このように「骨格」を維持しながら問題文に沿って「アレンジ」をするイメージをしっかり持つことです。

イメージトレーニングはとても重要です。様々な問題文(過去問)を使って短時間で練習できます。ちょっとしたスキマ時間に何度も繰り返し練習してみてください。


特別区 論文課題1】答案構成
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(現状分析)
都内の外国人旅行者=平成29年約1400万人・対前年比5.1%増
都内の外国人労働者少子高齢化を背景に受け入れ推進
出入国管理法改正で受け入れ体制整備→平成30年約45万人

(課題提起)
外国人観光客:言葉の壁、マナーのズレ、災害時の誘導
外国人労働者:住環境、仕事環境、外国人同士のコミュ

(解決策)
(1)外国人観光客
①「言葉の壁」を取り払う
・公共施設・観光スポットで多言語表示、ピクトグラム
・小売店、飲食店などへ自動翻訳機
・観光ボランティア講座、認定観光ボランティア

②マナーのズレ解消
・多言語での動画配信→事前のルール伝達
・空港で多言語ルールブック配布
・宿泊施設での接客を通じてマナーアドバイス

③災害時の安全
・外国人観光客誘導も考慮した避難訓練
・多言語で災害関連情報を流せるアナウンス設備
・非常時マニュアル・連絡先リスト配布

(2)外国人労働者
①日本に住みやすい環境づくり
・オンライン日本語教室
バイリンガル地元住民とのサークル
・行政窓口の多言語化タブレット端末

②スムーズに仕事をする
ハローワーク・就職相談窓口の多言語化
・ビジネス系日本語スクール
・保育・学校関係へ通訳カウンセラー

③外国人同士の衝突の回避
・外国人同士が参加する地域イベント
・文化・習慣解説ガイドブック
・多文化共生に関する授業
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こんな感じになります。
でもこれは「かなり丁寧」な答案構成です。

答案構成というと身構えてしまう方も多いのですが、実際にはこんなに丁寧に書く必要はありません。あくまで論文を書くための「メモ」に過ぎないのですから。

で、先ほども触れたように、この答案構成は「外国人観光客」と「外国人労働者」の2ルートに分けています。それが問題文に沿った「アレンジ」です。

要は「アレンジ」といってもこの程度のことです。でも、この程度のことが大事ですので、決して疎かにはしないでください。

ちょっと長くなりましたので、続きは

で。答案構成を元にして書いた答案例を使って説明します。