教養論文では「行政権限」と「補助金」が落とし穴

受験生を悩ませる教養論文ですが、あくまで試験科目であって、当然ですがプロの行政官レベルの解答を求めているわけではありません。したがって、政策を調べておく必要はあるといっても、「政策オタク」になる必要はありません。

しかし、各行政課題で議論となっている政策や仕組みを理解しておくことは、最低限必要なことです。公務員試験の教養論文では、各受験生の日本語能力だけでなく、業務に関する理解度やも評価対象となっているからです。

具体的には、以下の2点が重要です。

「国」か「都道府県」か「区市町村」か

(1)まず、受験先(国か都道府県か市役所・特別区かなど)によって、「行政権限」に注意するという点です。

大きく分けると、一般的にみても「国」か「都道府県」か「市役所・特別区」かによって、行政権限として「できること・できないこと」があります。それを前提として論じないと、採点官は「この受験生はそもそも行政組織を理解していない」と判断してしまい、結果、教養論文の点数は低くなってしまいます。

例えば、少子化対策に関する具体的な政策として「認可保育所の拡充」があります。「認可保育所」自体は基本的な用語ですが、この用語の使い方にも気をつける必要があるのです。

まずは、「認可保育所」にいう「認可」とは、誰が認可しているのか?という点です。これを認可しているのは都道府県知事です。

それを例えば「市役所」や「特別区」の試験で、「認可保育所の認可を積極的に行っていくべき」と記述をしてしまうと、権限違いとして減点となる可能性もあります。

また、施設の広さや保育士の数など「認可保育所」の設置基準は「国」が作っているのにかかわらず、「都道府県」や「市役所」の教養論文で、「設置の基準を緩めて認可保育所を作りやすくし数を増やすべき」などという政策を書くのもNGとなります。

行政による政策では、誰が認可(や許可)するのか、誰に届け出るのか、などがそれぞれ異なっているわけですから、そういう権限については気を配りましょう。ちなみに、「東京都」には独自の「認証保育所」というものもあるので、東京都を受験する方はさらに注意が必要です。

補助金」というマジックワード

(2)次に、「補助金」の扱いにも注意するという点です。

教養論文で具体的な政策を書くとき、マジックワードのように良く使われるのが「補助金」という用語です。この「補助金」を論文で使うときには、その自治体の政策についてある程度の知識が必要です。

たとえば、保育所の設立では、既に多くの自治体が多額の補助金を出しています。その現状を知らずに「保育所への補助金をさらに拡充すべき」などと気軽に書いてしまうと、「予算が湯水のように使えるわけじゃないよ」「適当に書いているだけだな」などと判断される恐れもあります。

そもそも行政による補助金については、その効果が見えにくいあるいは効果がない、などと多方面からの批判が多いところです。現実の行政サイドとしては、ナーバスになっている側面もあります。教養論文の採点は行政官すなわち行政のプロが行うケースが多いのですから、安易に「補助金を出すべき」などと書いてしまうと、テーマによっては「実現可能性に欠ける」として評価が低くなることもあります。

このように、政策について必要以上に詳しくなる必要はありませんが、上記の2点について意識しながら教養論文の準備を行うと、より力がつくと思います。