教養論文における答案構成の作り方

で、教養論文は「問題文を読み切る」ことが大切だということを書きました。今回はその続きとして、

問題文を読み切ったら、その後どうするの?

ということについて書きます。

問題文を読み切った後にすることは、一般的には、

「答案構成」

と呼ばれています。

これは文字通り、答案に書くべき内容を「構成」する、すなわち組み立てることです。言い換えれば、答案の「設計図」を作ること。設計図なしに丈夫な家を建てることができないのと同じく、設計図なしに読みやすくて説得力のある答案を書くことはできません。

答案構成の具体例

では、答案構成について、前回のブログで触れた過去問を使って考えていきましょう。

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【2017年特別区I類】
少子高齢化が急速に進み、人口減少社会を迎える中で、社会の活力を維持し、持続的成長を実現していくために、社会のあらゆる分野において女性の活躍が期待されています。一方で、女性を取り巻く社会環境は、働く場での男女間格差の問題や家庭生活における役割の偏重など、女性の意欲や能力が十分に発揮できる状況にあるとは言えません。
このような状況を踏まえ、社会における女性の活躍推進について、特別区の職員としてどのように取り組むべきか、あなたの考えを論じなさい。
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試験時間が1時間だとしたら、実際に答案構成にかけることができる時間は、長くても20分前後と限られています。また答案構成は自分しか読みません。そうだとすると詳しく丁寧に書く必要はないですよね。自分さえ分かればOKです。

実際に書いてみると、例えばこのような感じになります。
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<答案構成>

少子化
女性の活躍が期待される
でも
女性の意欲や能力が十分に発揮できる状況にない
「女性の活躍推進を実現する施策」

以下述べる


(1)働く場での男女間格差の問題を排除
・賃金待遇面が優れた企業を集めた区主催の就職説明会の実施
→経営者・管理職の意識を変えることがきる
・男女別の賃金や管理職の割合の公表
→賃金・昇進面での差別を是正できる
・いままでになかった分野で活躍した女性による講演会の実施
→仕事の役割分担への偏見を減らすことができる

(2)家庭生活における役割の偏重を是正
育児休業取得率、有給休暇取得率の高い企業の表彰
・テレワークの普及を進める企業へ助成金を交付
・業務の効率化のためのアドバイザーを区から派遣
→男性の労働時間を減らして家事・育児・介護の時間に回すことができる
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答案構成で最も重要なのは、具体的な施策に関する「2(1)(2)」の箇所。この箇所は自分で考える部分なので、端折ってはダメです。答案構成の時点である程度しっかりメモっておく必要があります。

答案構成ができるまで

上記の答案構成ができるまでの過程を、もう少し詳しく見ていきましょう。
まず、問題文をきっちり「読み切る」ことから始めます。そして最初に「書くべき中心」はなにか?を見つけることが先決。この問題では

『女性の活躍推進を実現する施策』

がそれに該当します。ただ、なにも条件設定なしにこの施策を考えると、かなり多岐に渡ってしまいます。そうすると、答案の内容が千差万別になってしまい、採点基準の設定が非常に難しくなります。

そこでなんらかの条件設定がなされているケースが一般的です。

問題文にその条件設定がないかな〜と探していくと、

「働く場での男女間格差の問題」
「家庭生活における役割の偏重」

という2つがそれに該当することに気づくことが大切です。そう、

「働く場での男女間格差の問題」
を排除し

「家庭生活における役割の偏重」
を是正する

ことこそが、この問題が求めている

「女性の活躍推進を実現する施策」

なのです。だとすれば、あとはそれぞれについて施策を挙げていけばよいことになります。

その際のポイントは、「あるべき姿」を書いても点数には結びつきにくいので、あくまで具体的施策を挙げること。例えば上の答案構成では、

・賃金待遇面が優れた企業を集めた区主催の就職説明会の実施
→経営者・管理職の意識を変えることがきる

とありますが、

上段「・〜」が具体的施策、下段「→」があるべき姿です。つまり、

「働く場での男女間格差の問題を是正するためには、経営者や管理者の意識を変える必要がある」

で終わってしまってはダメで、「変えるためにはどうするのか」という具体策を書く必要があるということです。

また、本問は特別区の試験なので、問題文にもあるように「特別区の職員として」できる施策を書く必要があります。もし問題文にこのような指定がなくても、国家公務員試験であれば「国(省庁)ができること」、地方自治体であれば「受験する自治体の職員としてできること」を前提として書く必要があります。

受験生から送っていただた再現答案を拝見すると、特別区の試験なのに明らかに東京都や国でないとできないこと、市役所の試験なのに県でしかできないこと、行政でなく民間企業が行うべきこと、などが書かれているケースが非常に多いので注意が必要です。

なお、いわゆる書き出しに該当する「問題の背景」については、それが直接問われていない限り、問題文の該当箇所(本問では冒頭部分)を簡潔に要約する程度でもかまいません。上記の答案構成例でも、最初の「1」の部分でカンタンにメモしている程度です。

このように答案構成の作成過程を見ていくと、問題文をきっちり「読み切る」ことができれば、まさに問題文に誘導されるように答案構成ができていくことが分かっていただけると思います。