地方上級試験には「型」がある

「地方上級試験」すなわち道府県政令市の試験は、具体的な対策が立てにくい試験だといわれています。その理由としては、試験問題が公開されていないということもありますが、各自治体が個別に試験を行うため、その傾向を掴むのが非常に難しいことも大きく影響していると思います。

しかし、一見バラバラに見えるこの地方上級試験には、実はかなりの部分で重なりあう「共通試験」という側面もあるのです。

試験問題を作成するというのは専門的なノウハウが求められるため、ほとんどの自治体では独自に問題を作っていません(独自に作っている自治体は東京都や特別区などごく一部)。

地方上級試験の多くの問題は、

公益財団法人 日本人事試験研究センター

という機関が一括して作成しています。

全国の自治体は、このセンターが作成したものの中から任意に問題をピックアップし、それぞれの「独自試験」として構成して実施されていると推測されます。したがって、地方上級の試験では、異なる自治体においても共通の問題、すなわち同じ問題がかなり見られることになります。

すべての自治体を調査した統計ではありませんが、過去のデータからすると、だいたい「各試験の6割~9割は共通問題」「残り4割~1割が自治体によって異なる問題」と推測することができます。

さらに、その「異なる問題」についても、複数の自治体にまたがる「部分的な共通問題」として作られていたりするので、結果的に、特定の自治体でしか出ない問題というのは、実は非常に少ないのです。

3つに分類できる地方上級試験

このように共通問題が多い地方上級試験ですが、その出題タイプは「関東型」「中部北陸型」「全国型」の3つに分類することができます。

「関東型」には、神奈川県や千葉県、埼玉県、栃木県、群馬県など、いわゆる関東地方の県庁が該当します。
「中部北陸型」には、愛知県や三重県、石川県や富山県といった、中部東海地方や北陸地方の県庁が該当します。
「全国型」は、それ以外です。

試験対策上重要なのは、この型ごとに出題科目数に違いがあるという点です

例えば専門科目を見ると、

「関東型」では、<経済原論(ミクロマクロ)>の出題数が多く、
「中部北陸型」では、<憲法民法行政法>の出題数が多い。
具体的には、「全国型」では9問程度しか出題されない経済原論が、「関東型」では14問程度出題され(経済政策含む)、「北陸型」では、憲法行政法民法が「全国型」より7問程度多く出題されます。

直前期に効果的な地方上級対策とは

以上のことを前提とすると、これからの直前期の学習で地方上級対策を強化したいという場合、以下のような方向性が効果的です。

(1) 問題集の選定
地方上級の試験問題は、都庁や特別区、国家一般といった試験とは異なり、過去問集に掲載されている問題は、すべて何らかの方法で再現したものです(問題の持ち帰りもできずネットでも例題を除き公開されていないため)。スー過去やクイックマスターなどの過去問集には、地方上級試験の問題はさほど含まれておらず、それを補うには、下記のような「地方上級に特化した過去問集」がオススメです。

地方上級 専門試験 過去問500(以下「過去問500」)

(2) 「型」の傾向に応じた重点策
「関東型」を受験する方は、「過去問500」に掲載の問題のうち<経済原論><経済政策>を中心に解いてください。
「中部北陸型」を受験する方は、<憲法民法行政法>を、それぞれ全て解いてください。中にはスー過去などの一般の過去問集には載っていない論点も掲載されていますが、それが「それぞれの型の傾向」を示す問題です。
「全国型」を受験する方は、「過去問500」に掲載の問題のうち、<比較的最近の問題>を優先的に、科目横断的に解いてください。

地方上級の試験は、国家一般職や特別区、都庁といった他の公務員試験と比較すると、問題文の雰囲気や選択肢の分量などが多少異なります。同じような論点でも出題の形式が異なったりするので、解きながらそのテイストにも慣れてください。

このように、地方上級試験は、それぞれの「型」に特殊化した対策をとることで、残り少ない時間でライバルに差をつけることができます。最後の追い込みで悩んでいる方は、このやり方を参考にしていただければ幸いです。